Berkeley

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火垂の墓

2008年09月28日11:00

今日は、日本研究センター(CJS)の企画で、

「Anime: Masters & Masterpieces」(アニメ:巨匠とその作品)

という企画に出席してきました。これはシリーズものなのですが、今日は高畑勲監督の「火垂の墓」が上映され、そのあと、日本文化の研究者たちがパ ネルディスカッションをするという企画です。専門は違うのですが、ちょうどまだ観ていなかったし、内容はまさに平和学なので、息抜きに出かけました。写真 はその時のパンフレットです。

まず始まって1分で、涙があふれて止まらなくなりました…。
ちょうど日本に残した子供たちや家族のことが思い出されたのもあったかもしれませんし、「サクマのドロップ缶」など、いちいちディテールが郷愁を誘ったのだと思います。

さて、今日の気がついたこと。

① あたりまえですが、「日本文化」で、もはやアニメは欠かすことができないということだけでなく、こんなにも研究者がいたり、世界中でフェスティバルが毎日のように開かれているなんて驚きでした。その世界的な影響力の大きさにはちゃんと目を開いていませんでした。

② 主催者も言っていましたが、大学という場で、メディアとしてのアニメを共通項にして、通りがかりの一般市民と、研究者や学者と、アニメファン やマニアとをつなげる(blidge)試みをする、という考え方が、とても参考になりました。入場無料で、パンフレットもタダ。土曜ということもあって、 通りがかりの人が「面白そうだな」、と入ってきていました。大学の役割は、まさに異質な人同士の間に「出来事」を発生させるということなのです。

③ 細かいことですが、一通りトークが終わった後、質疑応答で司会が、「最初の5人には今日の映画のCDを差し上げます!」とのこと。いやおうな く、どんどん質問が出るわけです。これは使える、と思いました。必ずしも立派な聴衆を前提としなくても、盛り上がるしくみ。こういう小技が、アメリカには たくさんあるようです。

4人のパネリストの話はとても刺激的で、楽しめました。
「トトロ」のお父さんと子どもたちがいっしょにお風呂に入るシーンは、アメリカではカットされたとか、ジブリのアニメは、実はどれも戦争の影をひ きずっているだとか、原作者の野坂昭如は、日本のトリックスターだとか、アニメは今の世界のメディア状況に革命的な役割を果たすだとか、アニメは日本の伝 統的ミニマリズムの結晶で、そぎ落とすがゆえに、観た人が自分の経験をそこにリアルに再構築できるとか…。本当かなと思うことも含めて、アレコレ頭を柔軟 にしてくれた気がします。