Berkeley

2008

May 22,25
Aug 30
Sep 1,2,3,5,7,10,11,15,17,19,24,26,27,28,30
Oct 1,2,4,5,7,12,14,16,18,20,23,26,27,28,31
Nov 1,2,3,5,6,7,8,10,13,15,16,17,18,20,21,23,
  24,26,27,28,29,30
Dec 1,2,3,4,6,9,11,12,13,14,17,18,24,25,31

→2009

Thanksgiving Day (感謝祭)

2008年11月28日16:55

今日はサンクスギビング。

アメリカの行事の中で、いちばん商業主義に侵されていない、スピリチュアルな大切な日です。もともと17世紀初頭、ピルグリムファーザーズたちが アメリカ大陸にわたって困難に陥った時に、近隣の先住民族の助けによって難をのがれることができ、それに感謝して食事をともにしたのがきっかけと言われて います。歴史的修正主義者は、これを、白人がはじめてインディアンを駆逐した日としているようですが、それでは寂しすぎますね。

この日はみんなごく親しい身内が集まって、七面鳥を食べ、デザートにパンプキンパイを食べます。腕によりをかけて一日がかりで料理をし、夕方から、談笑を楽しみながらだらだら食べます。

ぼくは寂しくひとりぼっちのサンクスギビングだと思っていましたが、幸運なことに、UCバークリーのカタリア・ウム教授夫妻の家に招かれました。 閑静な住宅街にある、プールと野外スパ付きの大邸宅で、暖炉も素敵でした。お母様がつくった料理もワインもおいしかったし、話も終始笑いっぱなしで、しか も送迎までしてくださって、本当に楽しかったです。

ウムさんは、お父さんがカンボジアの外交官だったので、小さい頃から世界中を経験し、今はめぐまれない移民の子どもたちへの支援活動も行っていま す。細やかな気遣いと、もう「生まれ」としか言いようのないインテリジェンスとやさしさにあふれた素敵な人です。ご主人は日本人とのハーフで、現在法律家 です。剣道で北米一番になったこともある、日本好きのスポーツマンです。彼からビジネスの現在や日本企業の話をきいて、ずいぶん勉強になりました。日本企 業が今なぜ没落しているのか、企業文化の話で盛り上がりました。

実は、このご主人の日本人であるお母様とぼくが、まず知りあいになりました。このお母さんは、学生時代、人類学者のスタニフォードさんと結婚し、 アメリカに移住しました。よく聞けば、このスタニフォード家は、ピルグリムファーザーズ直系の名家で、東海岸に同じ名前のストリートがあるほどです。つま り、ぼくはもっとも由緒正しいサンクスギビングを経験したわけで、さながらかつて招かれた先住民と同じ椅子に座っていたということになるでしょうか。

アメリカは、家の造りが、そもそもお客さんを招くための造りになっています。それは、本当にうらやましい気がします。ぼくも田舎に小さな家を建て ましたが、パーティーをするための応接スペースは十分とることができませんでした。「市民社会」や「社交」といっても、物理的な意味において、それが日本 に根付くのはなかなか難しいという気がします。

いずれにせよ、アメリカ人にとって一番大切な日を、一般の家庭で経験できたのはとても貴重でした。