Berkeley
今年の夏から1年間、研究休暇でアメリカのカリフォルニア(バークレー)で過ごすことになりました。
国際政治学者、進藤榮一さんのお仕事のひとつに『アメリカ――黄昏の帝国』という本がありますが、まさに今、アメリカがどのように「たそがれて」いるのかを、この目で見てこようと思っています。
それで今、ビザを取得するべく格闘しているのですが、書類を書いていると、だんだん自分が犯罪予備軍の中に位置づけられているような気がしてきます。行き先の大学からは、とっても親切な手紙や連絡がくるので、何だか歓迎されているように感じ、行く前から本当に不安が和らいでいたのですが、ビザ取得の作業では、「お前、本当に来るんだろうなあ!」と、まるで恫喝されているようです。
申請書類の中には、「非移民査証補足申請書」というのがあって、そこには、「過去10年間入国したすべての国名と年次を記入せよ」というのがあったり、「現職の前の雇用主2人の名前と連絡先を書け」などの項目があります。明らかに申請者は「捜査対象」といった印象を受けます。これは、16才から45才の男性のみに提出が求められているもので、ただし、キューバ、イラン、リビア、北朝鮮、スーダン、シリア国籍・生まれの16才以上は男女共に提出しなければなりません。
人種や国籍を問わず、フレンドリーに歓迎してくれる寛大なアメリカと、「入るものはきっとテロリストだ」と言わんばかりの臆病なアメリカ。どちらもアメリカの現実の顔です。
いずれにせよ、今回の留学では、一つの大帝国がその底辺から「たそがれて」いく歴史的なプロセスを、そこに住むことで、下からじっと見つめて記録しておこうと思っています。