Berkeley
こちらにきて、なるべく各新聞を読もうと思っています。
昨日の朝刊(「ニューヨーク・タイムス」)には、その国の医療システムの質を表わす、「乳児死亡率」のデータが載っていました。
先進国の中で、1960年に12位だったアメリカは、2004年には29位までランクがさがっています。スロヴァキアやポーランドと同位です。ち なみに日本は、19位だったのが3位までランクアップしています。1位はシンガポール、2位は香港です。4~6位は北欧諸国です。
ここから、アメリカの医療システムの水準は、平均すればとどんどんと下がってきたのだといえそうです(もちろんお金持ちが受けるサービスは別です)。
この大統領選挙の時期になんだか意図的な記事であるような気もするのですが、アメリカは、ヘルス・ケアをはじめとする社会保障が、もうボロボロに なっていて、国の下半身から弱り始めているという印象をもちます。それは、アメリカに住む多くの人々の実感となっても表れているようです。
そもそも、「サブプライム問題」も、人々が家が買えないという基本的な社会問題を、架空の信用創出でごまかしてきたために発生した問題だったといえます。戦争と市場原理と金融だけで、本当に社会保障を支えることはできません。
マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』ではありませんが、ここでは貧乏になればなるほど、歳をとればとるほど、生きるのが本当に不安になってきま す。そこそこの保険に入っている中流以上の人でも、寝たきりになった時には、採算重視の機械的な介護システムに投げ込まれ、たとえば毎日言葉も通じない 人々と過ごさなければなりません。
アメリカ政治の風は、大きく、厚生・平等・福祉の問題にシフトしています。デモクラシーが機能する限り、オバマ候補が勝利するのは、歴史的必然です。けれども、この問題の解決は容易ではありません。