Berkeley
今日は土曜日。
ここバークリーは、いつものように、馬鹿みたいに快晴です。
ここに来る前は、どう見ても、アメリカは国家として衰退しているのだと感じてきました。しかし、来てみると、その底力に気がつきます。
まず広大な国土。最近新聞広告にもありましたが、アメリカ本土には以後60年間アメリカ人が今の生活を続けていけるような石油と天然ガスがあります。なぜ政府は今まで、戦争をしてまで外に資源を求めようとしてきたのか、素朴な疑問が浮かびます。
また加えて、20世紀を通じて蓄えた、「帝国」としての遺産があります。それは人材であり、政治社会のシステムであり、何より、大学や企業の研究所をはじめとする科学技術や「知」の蓄積です。国際的なルールをコントロールするためのしくみもつくりあげました。
こういう点からは、「アメリカ帝国」は不滅であるかのようです。
しかし一方、その足元では、「社会」の崩壊という形で、アメリカの黄昏が始まっているのかもしれません。かつてトクヴィルが称賛したような、アメリカの「社会」です。
今日の「ニューヨークタイムス」は、全米の失業率が過去5年間で最高の6%を上回った、と報じていました。失業率は国によって計算の仕方が違うのかもしれませんが、とにかく過去5年で最高の値です。各大統領候補は、この問題にまず取り組むことを宣言しなければならないでしょう。
さらに記事を読んでみると、その中の統計に、アメリカの一般従業員の平均賃金は、一週間に約611ドルとありました。これを年収に換算すると、日本円で約352万円になります。スーパーに行っても、食料品などの物価は高く、この賃金では一般人の生活が決して楽ではないことが想像できます。
アメリカはもとより「格差社会」なのでしょうが、基礎的な生活の不安が増大することは、「社会不安」を引き起こし、ひいては「社会」そのものの崩壊を導きます。アメリカの危機は、外からやってくる「テロリスト」などではなく、まさにアメリカ社会の内側にあるということを、ようやく多くの市民が自覚しつつあるようです。