Berkeley

2009

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料理番組のプラグマティズム

2009年05月24日04:36

こちらのテレビ番組でぼくが好きなもののひとつに、「America's Test Kitchen」があります。「公共放送でもっとも視聴されている料理番組」なのだそうですが、ぼくもアメリカの良さが出ているとてもいい番組だと思います。

ウェッブサイトは、以下の通り。http://www.americastestkitchen.com/default.asp

おいしい料理の作り方を紹介するのは料理番組として当たり前なのですが、他の番組にない良い点が二つ挙げられます。

まず、アメリカ人が普段つくっている当たり前のものを、「本当はこうしたほうがもっと美味しくなる」とちょっとした日常的提案を欠かさないということです。

特別の材料や手の込んだレシピではなく、たとえば、小麦粉やバターを混ぜる時に本当はこの順番でやったほうが、パンケーキの食感がよくなる、などといったちょっとした「小ワザ」を知ることができる。それは、より豊かな生活にとってきわめて重要で、かつ実践的な知識です。

さらに注目すべきなのは、番組タイトルにもあるように、テスト(実験)を重視するということです。たとえば、どの会社のコーヒーメーカーがいいのか、どの会社のマーマレードがおいしいのか、どのまな板が理想的なのか、徹底的に実験して、なんと順位を決めてしまう。

これは日本の番組では難しいでしょう。まず、公共放送であるからできるわけです。スポンサーが前提の民放ではできません。また、順位を決めるの は、その道の専門家であるということが重要です。つまり、毎回の実験には異なった人がでてきて、その個人の基準において「判断」を行う。その際、その判断 基準も明確にされます。

企業から番組が訴えられないのか心配になりますが、まず客観的な実験に基づいており、またあくまでその専門家個人の「判断」に基づくものなので、 問題が起きないということなのでしょう。アメリカ新聞の署名記事のように、個人の責任において「俺はこう思う」と堂々と意見を表明する文化の背景があるか らこそ、こういう企画が可能なのだと思います。

この番組をみていると、実践的な価値を重んじ、かつ確固たる個人の意見表明を尊重するアメリカ文化の良い側面を感じることができます。

キッチンにこそ、アメリカ文化の精神が宿っている、というのはおおげさでしょうか。でも、そう感じることが多くあります。