Berkeley
今日は、20世紀のイギリスを代表する作曲家ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten:1913-76)の「戦争レクイエム(War Requiem:1962年)」を聴きに行きました。提供はUCバークレー音楽学部。会場は、大学内の「Zellerbach Hall」。約90分の大作です。
この曲は、もともとあのナチスドイツのイギリス(コベントリー)への空爆(1940年)で破壊された聖マイケル教会に贈られた曲で、反戦主義者のブリテンが明確なメッセージを込めて作った曲です。
また彼は、その初演に際して、三人のソリストをソ連・イギリス・ドイツのそれぞれから招こうとし、結果的に実現はしなかったものの、第二次大戦で戦った国同士の和解を表現しようとしたとも言われています。
初めて聴いたのですが、とにかく楽曲の編成が大規模で、楽器も見た事もないものがたくさん舞台にあふれているという感じです。ハープ、ドラ、鐘の みならず、太鼓やティンパニーなどの鳴り物?の類だけでも十種類ぐらいはあったでしょうか。コーラスも、大人の声と子どもの声に分かれ、舞台に乗りきらな いので、子どもたちのコーラスは客席後方で鳴り響くという趣向です。パンフレットには、「編成があまりに大きいのでめったに演奏されることがなく、バーク リーでは初の演奏になる」と書いてありました。
だから迫力は満点ですが、個人的には、「レクイエム」にしては少々騒々しすぎるなとも感じました。
しかし、曲の最終局面での、この世のものとは思えない美しい旋律の交差、全体を通じて音が持つ限りない可能性を極限までつきつめた音の彩りと多様な展開に、自分の「音楽」の幅も広がったように感じました。
僭越ですが、ぼくの「平和学」も一種のレクイエムだと思っています。
無数の死者と対話する中から、希望と尊厳と信仰を取り戻す営み。
ですから、今晩は気分一新、また自分の研究への情熱も喚起されました。