Berkeley
今日、日曜日は、サンフランシスコで有名な「Stern Grove Festival」に行ってきました。
このコンサートは1938年以来、今年で72回目を迎えるのですが、すべてのコンサートが無料になることで有名です。写真左にあるように、心地の良い森の中で開催され、会場は超満員になります。
配布されたプログラムやサイトによれば、このコンサートが開かれる森、Stern Grove(スターンの森)は、1931年にロザリー・マイヤー・スターン(Rosalie Meyer Stern)という篤志家の女性がサンフランシスコ市に寄贈したもので、彼女がこの森の無料コンサートの発案者でもありました。現在、このフェスティバル 自体はNPO(非営利組織)として活動しています。
彼女は、当時、世界恐慌の余波の中で落ち込むコミュニティを、特に芸術家の支援を通じて活気づけようと考えました。現在、この活動が掲げる目標は以下のように4つあります。
①ベイエリアに住み、訪れるすべての人々に、無料で高い質のパフォーマンスを提供する。
②プロのアーティストたちに有給で出演の機会を与える。
③多様なジャンルの演目を提供することで、多様な観衆に喜んでもらう。
④文化の中心地としてのサンフランシスコの名声を高める。
毎年6月から8月の夏の2ヶ月間開催されるのですが、私は今日のジョン・バイエズ(Joan Baez)のコンサートをめがけて行きました。写真の右があの「ジョン・バイエズ」です。私にとっては、彼女は歴史上の人物ですが、実際、70歳近い彼女 が冗談を言って、歌っている姿を見ると、まるでタイムスリップしたような気分になりました。
「ここには当時まだ生まれてない人もいるでしょう?」
「若いころ、フォークと出会い、これを愛しました。そして幾人かの男性も愛しました。どちらも同じでした」
「これまで私の歌で死んだ人はいません」
などと、洒脱なトークをしながら、戦争で苦しむイラクや今抑圧されているイランの人々に向けた歌を歌いました。声の迫力は衰えているように感じましたが、最後に「We Shall Overcome」を歌うと、不思議と往年のアウラがよみがえってくるようでした。
予想通りと言おうか、変なにおいのたばこ(これってマリファナ?)の煙が漂ってきたり、おじいさんとおばあさんが孫を連れてきて、懐かしそうに曲 を聴いていたりしていました。私の隣にいたお孫さんと思しき女の子が、「これってミュージック・レッスンみたい」とおじいさんとおばあさんに言っているの が可笑しくて、彼らといっしょに顔を見合せて笑いました。しかし、思ったより若い人たちがたくさん詰めかけていたのも印象的でした。
芝生でワインを飲みながら音楽を楽しむ…。
みんなが、芸術とサンフランシスコと人生、そして平和を愛しているという雰囲気…。
これこそが、サンフランシスコが誇る「文化」なのです。