Lecture担当講義
NGO論(3年後期選択専門科目)
授業目的
現代社会の様々な局面で、NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)の活動が注目されるようになって久しい。 しかし、これを大学の講義などで体系的に論じ、学問的にとらえ直す作業は始まったばかりである。
本講義では、これら新たな市民活動のうねりを比較的長い歴史的な観点からとらえ直し、その現代的な意味について考えてみたい。 さらに、流動化する世界に呼応して刻々と変化するNGO/NPOの多様な活動の現実をも見据えてみたい。
また、これら「自発的結社」の可能性のみならず、実際の活動にともなう構造的・実践的な課題や問題点も明らかにしたい。 本講義では、NPO/NGOの諸活動を広く「ボランティア」論や「市民社会」論の文脈に位置づけ、 これら市民活動の文明論的な意義についても考察を展開したいと思っている。
テーマの性質上、受講者の自発的な参加に触発されながら、新しい講義や大学そのもののあり方も探ってみたい。
各回毎の授業内容
新鮮な題材を多く取り入れたいため細目は限定しないが、以下の内容には触れる予定である。
また、映像資料を多用する他、実際に様々なNGOやNPOで活躍する人を教室に招き、 現場の視点から話をしてもらう予定である。
- NGO/NPOとは何か、その歴史的意味
- NGO/NPOの分類と争点
- グローバル化とNGO/NPO
- 国連とNGO
- 地方発のNGO
- 女性とNGO
- 難民問題とNGO
- 小火器問題とNGO
- 核問題とNGO
- アイデンティティ・市民社会・NGO
成績評価方法
しばしば講義の最後に、コメントカード(質問やコメント、感想を書いてもらう)を作成してもらい、 それらは講義の改善に役立てるだけでなく、受講者の参加姿勢を見る材料とする。 基本的に最終筆記試験の成績により評価を決定するが、課題として作成してもらう「NGO調査レポート」の内容も加味する。
教科書・参考文献
共通テキストは、西川潤・佐藤幸男編『NPO/NGOと国際協力』(ミネルヴァ書房)。 必読参考文献の一例として、高畠通敏編『現代市民政治論』(世織書房)、D.ヘルド『デモクラシーと世界秩序』(NTT出版)、 M.ウォルツァー『グローバルな市民社会に向かって』(日本経済評論社)、目加田説子『国境を超える市民ネットワーク』(東洋経済新報社)など を挙げておく。
受講にあたっての注意事項
内容的にかなり高度なことも含むので、知的好奇心が旺盛な学生の参加を望む。
また、2年次に「平和学」、3年前期に「国際組織論」を受講していることが望ましい。