令和元年度 たけした じょ変革のうねり捉え 理想世界の解を求めよれてきました。本学におけるこうした流れはこれからも変わりません。日本で働く外国人材も増えました。「観光ビジョン実現プログラム2019」においては訪日外国人旅行者数2020年40百万人、2030「持続可能な開発目標(SDGs)」ということで、貧困や格差の是正、気候変動対策など人類が挙げて取り組まなければならな体的なターゲットや施策が掲げられております。国際化、グローバル化の流れはこのように順調に進んでおりました。ほんのしばらく前までは。同様に「情報化」という観点から現代の日本社会を振り返って見ましょう。皆さんが生まれた1990年代末には携帯電話でメールやインターネット回線への接続ができる「iモード」が一世を風靡しておりました。いわゆる2Gそして3Gの時代です。2010年代にはスマートフォン普及に伴う通信の高速大容量化が進み4Gの時代に入り、今年はいよいよ日本でも5Gサービス開始となりました。これにより「高速大容量」、「高信頼・低遅延通信」、「多数同時接続」が可能となりAI、IoT時代の基盤となる通信インフラが整備されると言われております。まさにこの世界は日進月歩の勢いであります。私たちは、そして世界はこうした国際化、情報化を推し進めることによりコストの極小化、ベネフィットの極大化を図ると共に便利さを追求してきました。国境を越えた年60百万人という目標も掲げられました。い17のユニヴァーサルな目標と169の具韓、ベトナム、スペインからの留学生を受入サプライチェーンの構築などはその好例と言えましょう。しかしながらしばらく前からこうした流れに見直しの兆しが見えていたことも確かです。世界経済をけん引していた米国がサブプライムローン問題で変調をきたし始めた2007年後半以降には「デカップリング」、つまり米国経済と新興国経済等とは切り離して考えた方がいいのではないか、ということが議論されておりました。あまりに精緻かつ複雑に、それも国境を跨いで組み上げられた産業の連関。これが災害などで一たび目詰まりを起こすとその影響は連鎖の輪の末端まで及び、被害は甚大なものになります。現在進行中の新型コロナウイルス騒動はその典型例と言えましょうし、それ以前からトランプ大統領が声高に標榜していた「自国第一主義」も、あるいは米国の中国との貿易戦争などに現れている関係見直し論も、こうした連鎖の世界をもう一度整理し直してみようという考え方に通ずるところがあるのかも知れません。実際のところ今般の新型コロナウイルス騒動を機に、基幹産業の生産拠点の自国回帰や複数場所への分散移転という声も最近耳にするようになっております。またいろいろな媒介手段を通して、噂、デマ、フェイクニュースを含め、真偽不明なまま各種情報が瞬時に伝わり拡散するようになりました。私たちは今こうした先の見通しが立ちにくい混沌とした世界の中におります。皆さんがこれから船出しようとしている世界は私たちがこれまで経験したこともない世の中になりつつあるようにも思われます。こんな句があります。「ただならぬ 世に待たれ居て 卒業す」竹下 しづの女 ・26事件」が勃発する前年です。国内外で何ともおどろおどろしい雰囲気が漂う句です。詠まれたのは1935年。あの「2政治経済が混乱し、日本が暗い社会に突入しようとしている時代の句であります。この後の歴史の歩みは皆さまご案内のとおりです。これを現在の日本と比較するつもりは毛頭ありません。時代背景もまったく違います。ただこうした一寸先は闇という混沌の中に身を置いているという点では似通ったものがあると言えましょう。そしてそのような中においても何が真理か、理想の世界は何処にあるのかという解を求めて突き進んで行く。世の中をより良い方向に変えて行く。それはいつの時代においても皆さん方のような若い人たちに求められているものです。怖れる必要はありません。浮足立つ必要はありません。が、風の流れに敏感であってください。変化の兆しによく注意を向けていてください。そして事の真偽を見極める冷静な目を持ってください。先ほどもご紹介したような国際的サプライチェーン見直しの動きが起こっております。そして卑近なところでは「働き方改革」という動きもあります。これはまだ緒に就いたばかりの動きなのかも知れませんが、今回の新型コロナウイルス騒動を受けて議論が大きく進む可能性もあります。最初は小さな兆しであったものの、気が付いてみると大きなうねりとなり変革となって現れる。今私たちは、社会が大きく変わろうとしている、その岐路に立たされているのではないでしょうか。皆さんがこれまで学んで来た知見をフルに活用して最適な判断をして行かれることを期待しておりますし、皆さん方の感性と行動力を信じております。有為転変の激しい世の中です。そういう世の中に皆さんは4月から船出する訳です。思いもかけない事態に直面することも数あることでしょう。これまで学んで来たことが何の役にも立たないということも起式辞にかえて晴れて学士の学位を授与された情報文化学部166名、国際学部114名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。新潟国際情報大学の役員、教職員、関係者一同心より祝福致します。併せてご家族、ご友人、関係者の皆さまにもお慶び申し上げます。新潟国際情報大学は昨年創立25周年を迎え、これまでに皆さんを含めて累計6654名の卒業生を送り出して参りました。その建学の理念は「日本文化の理解の上に立ち、国際的視野のもと、情報文化の発展に貢献できる有為の人材たらんとする意欲のあふるる青年を教育し、健全な心身を持つ、個性豊かな人間形成に資する」と謳っております。皆さんは元号が令和に改まってからの本学最初の卒業生であります。そうした記念すべき年の卒業式典でありますが、各国各地に新型コロナウイルスによる肺炎疾患などの蔓延という由々しき事態が生じ、誠に残念ながら中止の已む無きに至りました。記念すべき門出の日への思いがけない横やり。誠に痛恨の極みであります。さて、今私たちが過ごしている現代の日本社会を「国際化」という観点で見てみましょう。国際交流はますます盛んとなり、本学もその大きな流れに乗って進んで参りました。本学からは毎年露、中、韓、米、加国などに留学生を派遣し、これまでに中、卒業生に贈る言葉新潟国際情報大学 学報 国際・情報 令和2年5月発行 2020年度 No.112 新潟国際情報大学学長 野崎 茂
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