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奇跡の出会い友情と交友 尊い大きな財産になった 先輩などと軽々しく言えないのですが、小千谷市出身の堀澤祖門大僧正がそのお方です。86歳になられたと思います。祖門師は戦後初めて比叡山の過酷な荒行である「12 年籠山行」を成し遂げた高僧として知られています。この荒行は下界を離れ「12年、山に籠る」と書き「一期籠山行」とも言います。比叡山の荒行では峰々を駆け巡る「千日回峰」の方が有名のようですが、この修行を「動の修行」とすれば、天台宗の開祖、皆さんもご存じの最澄を安置した山中のお寺「浄土院」に12年間も詰め、比叡山に張本日は、平山学長はじめ、先生方、ご来賓の皆さまのご臨席を賜り、私たち卒業生のために、盛大な卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。卒業生一同、心より御礼申し上げます。新潟の冬の寒さも峠を越え、爽やかな春の風が立ち、卒業という事実と向かい合っている今、私たち一人ひとりの胸中には、さまざまな想いが去来していることと思います。私は、ロシア文化を学びたく、新潟国際情報大学に入学しましたが、実は第一志望の大学ではありませんでした。入学式のあと、私は悔しさのあまり涙が止まらなかったこと、大学に行く足が重かったことを今でも覚えています。しかし、気が付けばそられた、結ぶ、世界の界と書く「結界」という定められた区域から一歩も外に出ることなく、厳格な修行に明け暮れる「12年籠山行」は「静の修行」といわれます。本日、新潟日報社の小田社長が来賓でおいでになっていますが、祖門師のことは昨で、ご存じの方も多いかと思います。天台宗で最高位の大僧正になられた祖門師が仏門に入ったきっかけは「再誕」という言葉だったそうです。「再び誕生する」と書きますが、旧制小千谷中学から旧制新潟高校れが嘘のように大学へ行くことが楽しくなり、有意義な大学生活を送ることができました。今では、新潟国際情報大学で学んだことを誇りに思います。4年間を通して、特定の分野に限らず、幅広い視点から国際社会を勉強し、ロシア語の学習に加え、コミュニケーションを重視した英語の授業にも取り組み、多面的に考え、異文化を受け入れる姿勢、自分自身や自分の考えを伝える力が身に付きました。2年次のロシアへの派遣留学は、大学での学びを実践するよい機会でした。最初は、ロシア語もうまく伝わらず、失敗を恐れて、話したいと思っても自分から会話をすることができませんでした。しかし、一緒に留学へ行った仲間からそれを指摘され、その仲間の果敢に挑戦する姿、自分を伝え解け合っている様子に刺激を受け、私も徐々に自分から会話をするようになり、人に道を聞いたり、外国人の友人と出かけたり、積極的に取り組むようになりました。4年間における大学での学びは、知識や語学力の向上だけでなく、人の縁の尊さ、感謝の気持ちまで多岐に渡りました。ロシア語にこのような言葉があります。 《 Н ар од он а я д л уж б а и б ра тс тв о 友情や親交はどんな富にも替えることのできないほど尊い。私はこれを「人との出会いは奇跡であり、そこに至るまでの全ての縁に感謝し、袖触り合ってできた(多生年10月に新潟日報夕刊に紹介されましたのдороже любогобогатства.》 祝電 に進み寮の先輩から、この「再誕」という言葉を問いかけられ、衝撃を受けた祖門師は以来この言葉が頭から離れなくなったといいます。京大に進学したけれどますます気になってしょうがない。1学期を悶々として過ごしたけれど「再誕」が頭から離れない。そこで結局、祖門師は大学中退を決意して比叡山に導かれるように山に入り修行僧になったそうです。祖門師によれば、「再誕」とは「悶々とした旅の結果、自分とは何かと問い、これまでのように他に依存する生の)縁も生かし続けることは何よりも替え難い」と解釈します。この言葉はまさに私の大学生活を総括すると同時に、一番の大きな学びとなりました。心から尊敬できる恩師、互いに高め合い、信頼できる友人たちに出会えなければ、私は受け身の姿勢のままで、充実した4年間を送ることができなかったでしょう。大学で得た交友関係は、私の人生における大きな財産になると確信しております。明日からの人生の節目において、大学で育んできた力、学びをそれぞれの分野で活かし、一人ひとりに託された社会での使命を果たしていきたいと思います。これから踏み出していく道は、決して平坦ではないでしょう。その時こそ、友人たちと励まし合い、切磋琢磨しながら、大学で学んだことを糧に、それぞれの目標に向かって、よりいっそう励んで参ります。最後になりましたが、学問の奥深さを示唆し、学ぶことの面白さ、大切さをご指導くださった平山学長をはじめとする先生方、共に学び、多くの時間を過ごしてきた友人たち、そして私たちを今まで育て、大学にまで通わせてくださった両親、家族に心から感謝致します。これまで、本当にありがとうございました。本日ご臨席の皆さま、後輩の皆さんのご健康とご活躍、新潟国際情報大学の輝かしい発展をお祈りいたしまして、答辞とさせていただきます。き方を捨てること。そして、自覚的に生きるため自分自身をもう一度生み直す、ということであった」と語っております。私が祖門師のことや「再誕」の言葉を知ったのはかなり前になりますが、もちろんのこと、自覚的に生きることや自分を生み直すことなどできるわけもありません。しかし、考えてみることは今でも時々あります。皆さんも卒業の記念に「再誕」という言葉を頭の片隅にとどめて、時々思い出してもらえれば幸いです。以上、長くなりましたが激励の挨拶といたします。順不同日本私立大学協会会長新潟県知事新潟市長燕市長新潟商工会議所会頭株式会社ウエマツ代表取締役株式会社エイジェック代表取締役社長 古後昌彦様株式会社エクセルシステム株式会社NS.コンピュータサービス代表取締役社長 上村正雄様株式会社ゲイン代表取締役セコム上信越株式会社代表取締役会長 野沢慎吾様ALSOK新潟綜合警備保障株式会社代表取締役社長 廣田幹人様株式会社日本ドリコム株式会社マルイ代表取締役森井紙器工業株式会社株式会社リオン・ドールコーポレーション代表取締役社長 小池信介様衆議院議員大沼 淳様泉田裕彦様篠田 昭様鈴木 力様福田勝之様福田浩志様代表取締役 渡辺和市様関口千房様代表取締役 山城由紀雄様東京営業部長 神田晨嗣様清水辰雄様代表取締役 森井 康様石﨑とおる様すなお卒業生代表答辞 15新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成27年4月発行 2015年度 No.1(総代)情報文化学科荒木 円花
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