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今日の感慨を生涯忘れず 「再誕」を胸に力強く前進を幸せにするためではなく、より成長し利益をあげるための仕組み」であるように見えます。こうした仕組みの中で生きてゆくことは、そう容易なことではありません。皆さんは今からそうした荒海に乗り出すのです。でもたじろいではいられません。賢い思考力・判断力と強い信念、大いなる勇気を持って挑戦しなければなりません。いつの時代でもそうやって時代を切り拓いていったのは若者だからです。もうひとつ現在盛んに議論されているのが「地方創生」です。昨年5月に「日本創成会議」が発表した「地方消滅」の報告は大きなショックをもたらしました。このままの人口推移と都市への集中および合計特殊出生率で推移すると、2040年には全国市町村の半分が立ち行かなくなる危険があるという報告だったからです。そのため、昨年末の総選挙以降「地方をどう再生するか」が大きな政治テーマとなっています。皆さんは勇気をもって自分の人生を切り拓いてゆくと同時に、自分たちが住む地域・故郷を維持し良くしてゆくことにも立ち向新潟国際情報大学の第18回卒業式にあたり大学設置者であります学校法人新潟平成学院を代表して一言お祝いと激励の言葉を申し上げます。本日をもって卒業する27かって欲しいのです。「地域で生きる」ということにも大きな価値を持った人生を送ってください。卒業式に当たって毎年申し上げていることがあります。それは卒業後も自分の人生に夢を持ち、その実現に向かって前進してほしいということです。その実現が難しいからといってそれを時代や他人のせいにせず、諦めずたゆまぬ努力をしてください。夢が実現することも大切ですが、それ以上に夢の実現に向って努力をすることこそが大切です。なぜなら、それが自分の人生を価値あるものにする唯一の道だからです。自分の人生は自分の足で立って、前を向いて自分の手で未知なる道をかき分けて進んでゆくしかないのです。全力を尽くした人生こそ納得できる人生です。納得のゆく人生を送ってください。このことの大切さについても、ガンジーは言っています。「重要なのは行為そのものであって 行為が実を結ぶかどうかは、4名の皆さん、卒業まことにおめでとうございます。併せまして多数ご出席いただきましたご父母の皆さまに心よりお祝いと感謝を申し上げます。また、年度末のお忙しいなかご来賓の皆さまも多数ご出席いただきありがとうございました。卒業生の就職をはじめ日ごろ何かとご高配を賜っておりますことも併せまして深く感謝申し上げます。さて、卒業生の皆さんは今、胸に何が去来しているでしょうか。東に遠く飯豊、朝日の青い山脈を望み、西に大きく弥彦、角田山を仰ぎ見る、緑豊かな「みずき野」キャンパスでの懐かしい4年間の日々でしょうか。それとも苦しかったアルバイトのことでしょうか。一人ひとり振り返る思い出や感慨は違うでしょうが、本日この日の、いま現在の心に思うことをどうか生涯忘れないでほしいと思います。いよいよ実社会での人生が始まります。 結果ではない 自分でどうにかできるものではなく 生きているうちに分かるとも限らないだが、正しいと信じることを 結果がどう出るにせよ、 何もしなければ 何の結果もないのだから」卒業式の式辞としては、ずいぶん説教めいた話になってしまいましたが、もう一つ聞いてください。それは、どうか高い志を持って「自己に厳しく他人に優しい」自我を確立し、人間味あふれた人生を送ってくださいということです。私の友人の「さだまさし」さんの歌で、現在映画化され上映中の「風に立つライオン」は、シュヴァイツァー博士のように生きたいと青年海外協力隊に参加し、ケ二ヤ・ナイロビの熱帯医学研究所に勤務した長崎大の若い医師の実話が基になっていますが、「空を切り裂いて落下する滝のように僕はよどみない生命を生きたい。キリマンジャロの白い雪。それを支える紺碧の空、僕は風に向かって立つライオンでありたい」という歌詞に私た新しいステージを迎え旅立つ時に、よく荒海に漕ぎ出す船に例えますが、これは単に「波が高い荒れ狂う海」という意味だけではなく、波静かな海であっても、理解できないような矛盾や非常識といったものが浮き沈みし、また暗い海底には、許されないような不合理や不条理なことが沈殿、堆積しているとの意味もあるかと思います。そうした大海原を今のところは小舟のような皆さんは乗り出していかなければならないのです。ようとしている時に、しきりに「戦争の世紀」との決別が叫ばれ、世界の多くの人々がそれを決意し、また期待をしました。しかし、現実はどうでしょうか。民族間、地域間の紛争をはじめ宗教上の対立などから戦火は無くなるどころかむしろ激化しているような局面が続いています。さらにはテロの脅威も強まり、広がっています。極端行いなさいちは感動を覚えます。それは風に向って立つライオンが自分のためではなく、他人のために命をささげる崇高な人生を歩む存在だからでしょう。最後に卒業後も本学に想いを寄せてくださるようお願いします。本学は毎年歴史を重ねながら、より地域に必要な大学であり続けるとともに、この地域で活動している本学の卒業生にとって、誇りの持てる母校であり続けたいと願っています。時折、「学長、私卒業生です」と声をかけられます。その時「おお!社会人としてしっかりした人生送っているな」と感じることは、学長としてこの上ない大きな喜びです。皆さんも見かけたら声をかけてください。みずき野に春の訪れが感じられてきました。それは皆さん卒業生を送り出し、新入生を迎える春でもあります。人々は春とともに新たな人生に向ってスタートを切ります。皆さんはこの春、社会人としての人生に歩み出します。そんな皆さんの前途に幸多かれとエールを送って私のお祝いの言葉といたします。な自然現象による災害もわが国はじめ世界各地で多発し、加えてわが国ではメルトダウンした原発を抱えて生き続けなければなりません。皆さんは私が歩んできた時代とは違って、これまで経験したことのないようなさまざまな厳しい試練に直面することは確実、といっても過言ではないでしょう。しかし、そうした、ある意味「不安の時代」というか「逆境の時代」にあっても、皆さんには決してくじけない強固な心と覚悟をもって力強く前進していってほしいと願っています。ここで一つだけ新たな出発を機に、皆さんに考えてみてほしいことがあります。京都大原に「三千院」という有名な天台宗のお寺があります。かつて歌にも登場しましたから知っている方もいるかと思いますが、一昨年、私の出身校の小千谷高校の大先輩がこちらの門主に就任されました。理事長祝辞14新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成27年4月発行 2015年度 No.1学校法人 新潟平成学院20世紀の終わり、これから21世紀を迎え理事長 星野 元
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