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4年・小柳千晶 本学OBの山田啓介さんも講師に  銃規制の政治的意義などを解説 女性の家事労働は    なぜ減らなかったのかゼミ生の卒業研究テーマ安藤ゼミでは主にジェンダーという視点から家事労働、育児支援、雇用、ワーク・ライフ・バランスなどについて学び、議論しています。本格的な少子高齢時代を迎えた日本経済にとって、女性の労働参加がより重要視されています。特にもっと働きたいのに働けていない女性に、どうすれば希望する水準で働いてもらえるのか。政府は、地域社会は、家族ではいったい何ができるだろうか。学生にはそんなことを考えてもらいたいと思っています。私自身は行動経済学の1分野であるアイデンティティー経済学をフレームワークに、ジェンダー・アイデンティティーとそれに関連する行動規範と、そこからの逸脱が共働き夫婦の家事労働分担にどのような影響を与えるのかについて、主に公益財団法人家計経済研究所のパネルデータや共同研究で得られたアンケート調査の結果を用いて実証的に研究しています。ゼミではなるべくその成果を学生に還元できればと考えています。アイデンティティー経済学は経済学と社会学と心理学の複合領域的研究ですが、ゼミ生は経済学を体系的に学んでいるわけでなく、社会学の視点からもさまざまなテーマについて研究することになります。卒業論文は経済学というよりは社会学、中でも家族社会学の視点からのオリジナルな論文であることがほとんどです。公庁のものであれ、学生個人がとったアンケート調査の結果であれ、データから何が読み取れ、そこからどのようなインプリケーションが導かれるかを考えさせることです。また、アンケート調査の際には、その設計を十分に検討させるようにしています。卒業後のさまざまな分野で社会を分析する一つのツールを持てればと考えています。世界的に働く女性、働く意欲のある女性が増えてきている中で、いまだに日本では「男は仕事、女は家事(家庭)」といった性別役割分業の考えが根強く存在しています。負担を減らすはずの進化した家電製品が多く普及しても、なぜ妻の家事労働は減らなかったのか。家族構成を調べ、子が成長するにつれて増減した家事は何か。ゼミ生の一人ひとりがインタビュー調査を行いました。卒業研究では、さまざまなライフスタイルの存在に着目し、結婚というライフイベントが与える仕事への影響など、今の若年層の結婚に対する意識や「別居婚」に対しての考えをアンケート調査によって研究します。特に卒業研究指導で重要視しているのは官本学と新潟日報社による連携講座「異文化塾」の今期テーマは「多文化社会アメリカの現実」でした。ニューヨーク在住アーティスト、篠原有司男・乃り子夫妻による初回を含め、全5回の講義が好評のうちに終了しました。第4回(8月23日)「銃社会と合衆国憲法」の講師は本学出身の山田啓介さんでした。山田さんは本学卒業後、慶応義塾大学大学院に進学し、アメリカ政治、特に銃規制の政治的意義について研究しました。その後、新潟日報の記者となり、現在は村上支局勤務です。る修士論文の一部がコンパクトに説明されました。アメリカにおける広範な銃所持や民兵組織の存在などは他国の住民からは理解しがたいものです。そうしたアメリカ社会の分かりにくい側面について、その実態の紹介とともに、合衆国憲法との関連やその背景としての植民地形成について解説されました。本学での講義やゼミナールでの思い出なども紹介され、山田さんの関心が本学の学生時代から継続されていたことがわかります。究の世界には少し変わったところがあって、大学の枠を超えて大学院生を共同で指導する傾向があります。山田さんも慶応に籍をおきながら、東京大学の古矢旬先生にも論文指導を受けていました。その古矢先生が担当された9月の最終回「『国民社会』の発展と宗教問題」まで、本当に多くの方に受講していただきました。(国際学部国際文化学科今回の講義では研究成果であ日本におけるアメリカ政治研教授 越智敏夫)          7ズームアップ新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成26年10月発行 2014年度 No.3国際文化学科 安藤 潤准教授ジェンダーという視点から経済社会を分析好評だった異文化塾 「多文化社会アメリカの現実」研究室

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