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 人生ドラマを演ずる主役   自分を大切に真摯に生きよう理事長祝辞行動を観察し、最後まで生きがいを求めて死んでいった崇高な人間の精神を見出し、そこから「人生の意味と使命」の根本を見出そうとしているからです。絶望から全く何も感じない「無感覚人間」になる人、高圧鉄線に飛び込み自ら命を断つ人、死んでゆく仲間のパンや靴を奪う者がいる一方で、仲間に自分のパンを与え、励ましている人もいるのです。そしてこの過酷な収容所で人に生きる力を与え、少しでも生きようとさせたものは、肉体の頑健さではなくて、精神性の高さ、豊かさであることに気付くのです。フランクル自身は、収容所に入れられる前に手がけていた原稿の完成に生きがいを見出してゆきます。この本を読むと生きがいを持って絶望状態の中を生きた人々に感動するだけではなく、不思議に生きる勇気が湧いてきます。永い人生でもし苦しい状況に至ったら、この本を思い出して読んでください。きっと勇気が湧いてくるでしょう。今月11日に東日本大震災から2年という本年の積雪はあまり多くはありませんでしたが、寒さは例年になく厳しいものでしことで、たくさんの報道がありました。この震災で1万8千名強の方が亡くなり、2千8百名余のまだ行方不明の方がおられます。多くの方が大事な家族、友人を亡くし、どん底からの復興に取り組んできましたが、遅々として進んでいません。「時間が心の傷みを癒してくれる」というのは、あまりに大きな悲しみの前では全くの虚言でしかありません。時間はかえって悲しみ を深めているようにすら見えます。復興の遅れがさらなる精神的被災者をつくり出してさえいます。仕事が無くやむなく故郷を離れる人もいます。この間、政治は何をしたのだろうか、またわれわれ隣県に住む者は何をしてあげたのだろうか。がれき処理を巡って知事と市長が対立しているのは、被災地の人々にはどう写っているのだろうか、など種々考えさせられました。私にできたことは、石巻市に住む大学時代の友人に電話をかけて励ますぐらいでした。そして大震災の報道を見ていて、あらためてフランクルが「夜と霧」で指摘したた。そんななか、本日卒業式を迎えられた286名の諸君に、本学を創設いたしました学校法人としても「おめでとう」とお祝いを申し上げます。さて、皆さんが学んでいた4年の間に、大震災と原発事故という未曽有の大災害を私どもは経験いたしました。先日、3月11日を迎え満2年が過ぎたのですが、その復興と事故の収束の見通しは立っておらず、に心からお見舞いを申し上げる次第です。現在の日本は、少子化がますます進み、    ろ世界経済も、2008年のリーマン社会保障も財政も屋台骨が揺らぎ、先の見えない状況の中にあります。本年に入って、政治的にはいくらか安定し、このとこショックの不況がようやく底を打って、日「どんなときも人生には意味がある」という言葉を思い出しました。それはどんな逆境でも生きる意味を見出すことが、人間と して生きてゆくうえで大切であることを教えています。被災された方々が時間とともに絶望に向かうのではなく、希望の方に向かってほしい、そうなれるようにするにはどうしたら良いかと考えていました。卒業生諸君は今、希望に満ちた精神の中におります。今すぐフランクルは必要はないでしょうが、将来どんな状況におかれたとしても「人生には、生きることには意味がある」ことを忘れないでください。フランクルは最後に「悩んで悩んで悩みぬくこと 苦しんで苦しんで苦しみぬくこと。その絶望の果てにこそ、一条の希望の光が届く」と言っています。悩み苦しむことも意 味があると言っています。大切なことがもう一つあります。こうした精神にいたるには、卒業後も引き続き学び、考え、判断するということを続けることが大切だということです。そうすることで他人のことを思いやれる他人に信用される優しい人間になることが「自立した人間になる」ことの目的でもあるからです。そのことも申し添えておきたいと思います。卒業後も本学に熱い想いを寄せ続けてください。本年、本学は創立20周年を迎え新たなスタートを切ります。引き続き本学が地域に必要な大学であるだけでなく、多くの卒業生にとって、誇りの持てる母校であり続ける責任が私たちにはあると思っています。そのためにも卒業生の支援・激励が重要なのです。これからは皆さんと卒業生としてお付き合いできますことを楽しみにしています。街ですれ違ったら声を掛けてください。傍に夫や妻や子供さんがいたりして「おお!いい人生送っているな」と感じさせてくだされば学長として大きな幸せです。みずき野にも間もなく20回目の春が訪れます。そして皆さんの後輩を迎えます。季節は巡り人々はまた新たな人生に立ち向かいます。皆さんは社会人としての人生に歩み出します。そんな皆さんにあらためて卒業おめでとうと申し上げますとともに、その前途に幸多かれとエールを送って私のお祝いの言葉といたします。学校法人 新潟平成学院理事長 関根 秀樹 いまだに不自由な生活を送られている方々 卒業式に先立って、JABEE(日本技術者教育認定機構)情報システム技術プログラムの修了証書授与式も行われました。 平成24年度の同プログラムを無事修了したのは8人で、学長が修了証書を授与し努力をたたえ今後の活躍を激励しました。 このプログラムはJABEEが認定する教育制度で、情報システムを開発する技術者になるために必要な教育を受けたという社会的評価が与えられ、修了生は文部科学省令で定める国家資格である「技術士」の第一次試験免除の優遇措置が受けられ、また所定の登録を行うことによって「技術士補」の資格を取得することができます。 これで本学情報システム学科を卒業し修了証書を取得した学生が合わせて101人となりました。新潟国際情報大学 学報 国際・情報 平成25年4月発行 2013年度 No.112JABEE認定プログラム8人に修了証書取得学生が100人超す

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