3-4-1 権威
権威 authority:権力の心理的な合理化の一方法3-4-2 リーダーシップ言葉や命令が内容に関わりなく受容される場合:人は権威を持つ
・無条件の自発的服従の調達を可能にするような正統性の根拠
・個人的心理、内面 → それが社会的に共有、制度化される
なぜ権威が成立するか
・自分が自信をもてない問題については誰かに聞いた方が便利、安心
・「精神の経済」
・そのような欲求が「社会的に制度化」する
政治における権威
・氏族共同体の崩壊以来、人類史においては純粋の「権威体制」は成立しない
cf.丸山眞男「支配と服従」『現代政治の思想と行動』
・服従の制度化の進展:政治制度と政治的権威の複合
・通常、政治権力は身体への強制力を持ち、さらに自らを「権威化」する
権威を政治権力に与える状況:ミランダとクレデンダ
・チャールズ・メリアム『政治権力(上・下)』東京大学出版会
ミランダ :情緒的、呪術的
ex.記念日、記念碑、建築物、音楽、旗、物語、歴史、儀式、大衆的デモンストレーション
クレデンダ:理知的、合理的
ex.統治への合意、服従、自己犠牲、合法性の独占
ウェーバーの「支配の三類型」
歴史的変化
・支配者と被支配者の伝統的方法による意思伝達
「神の意志」「民衆の空気」「天の道」
・近代化:被支配者の意見を支配者に伝達する方法の確立
↓ 選挙、投票
支配者によって被支配者の意志の「操作」も可能にする
被支配者の社会的価値への参与、服従の自発性の認識、組織化
民衆の市民的権利の獲得過程
しかし
政治社会に存在する支配関係を抽象化し、その実態を被支配者の目から隠蔽していく過程
「合理化」とはなにか
ヴェーバー
「魔法からの世界解放」『職業としての学問』(岩波文庫)p.33
「世界の魔法が解ける」『仕事としての学問』(講談社学術文庫)p.43
しかし
「20世紀の神話」に依拠するカリスマ的支配が「人民の同意」を根拠に出現した事実クレデンダであっても「虚偽意識」化する
リーダーシップ leadership
・支配、指導する能力:特定の範囲の人間を特定の目標に向けて統合し方向づける能力
・その目標が政治的な場合:政治的リーダーシップ political leadership
・政治指導
・支配とリーダーシップの両義性(利益指向の方向性:既述)
リーダーシップ論
・政治指導者の理想像
・技能、能力:政治家論、為政者論
プラトン 『国家論』 身分、技能
マキャベリ『君主論』 君主の資質
ウェーバー『職業としての政治』
1.政治的責任(結果責任)と道徳的責任(心情的責任)を峻別する能力
2.状況予測能力
3.指導者への情熱
指導者論の内容
・歴史的条件(時間と空間)による拘束
・一般の人間に必要なものと変わらない
・しかし政治現象の理解のために重要
指導についての技能と知識
秩序維持の技能 cf.イギリスとアメリカ、アメリカとインドネシア
現代社会におけるリーダーシップ論の特質
・個人の資質の問題ではなく特定の社会状況で発生する社会過程
(その理由)
1.政治権力の基礎(権力基底)の変化
賛従−同意による市民社会
問題を「先覚的に」把握する君主の消滅
2.大衆社会の発生
政治と社会の混入
大衆心理の操作、追従という二面性
リーダーシップの中心機能:政策決定 決定作成 意思決定 decision making
リーダーシップの過程
1.現在の問題の特定化
2.限定された解決方法の提示
3.潜在的に感得されているものの組織化
4.大衆へのアピール
5.「問題の処理」の問題
現代社会における操作、組織化、管理、国家利益の判断の必要性
「シンボルとイデオロギー」へ
新潟国際情報大学 国際学部 越智敏夫
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